食品卸・バイヤーへの新規提案、通る会社と通らない会社の違い
同じくらいの品質の商品でも、通る提案と通らない提案があります。差がつくのは商品力ではなく、相手が判断するために必要な情報が、その場で揃っているかです。この記事では、バイヤーが何を見て判断しているかと、提案の前に用意しておくべきものを整理します。
この記事の内容
バイヤーは「売れるか」より先に「面倒がないか」を見ている
提案する側は商品の良さを説明したくなります。しかしバイヤーの立場では、新しい商品を入れること自体がリスクです。売れなければ自分の判断が問われ、欠品やトラブルが起きれば対応するのも自分です。
だから最初に見られるのは、味やコンセプトよりも次のような点です。
- 安定して供給できるか(欠品しないか)
- 条件が明確か(毎回確認が要らないか)
- 問題が起きたとき、すぐ連絡がつくか
- 既存の取引に混ぜられるか(発注や納品の手間が増えないか)
つまり「取引相手として扱いやすいか」が先に判断されています。商品の話はその後です。
POINT
商品の魅力を語る時間より、条件を即答できることのほうが通過率に効きます。「持ち帰って確認します」が3回続くと、たいてい話は止まります。
最初の商談で必ず聞かれること
業種を問わず、ほぼ確実に聞かれる項目です。これを紙1枚にまとめておくだけで、商談の進み方が変わります。
| 価格 | 上代と卸価格。掛率で話す相手も多いので、どちらでも答えられるようにしておきます。 |
|---|---|
| 最小ロット | 1回の発注の下限。ケース入数もあわせて。試しに入れたい相手は、ここが大きいと止まります。 |
| リードタイム | 発注から納品まで何日か。在庫があるのか、受注生産なのかで話が変わります。 |
| 賞味期限 | 製造からの期限と、納品時点での残存期間。棚に置く相手は残存期間を見ます。 |
| 送料 | 誰が負担するか。無料になる金額の線。 |
| 供給余力 | 月にどれだけ出せるか。大きな話になったときに即答できるかで信用が変わります。 |
| 既存の取引先 | どういう売場に入っているか。言える範囲で構いませんが、答えられないと実績がない印象になります。 |
提案資料に入れるべきもの・要らないもの
入れるべきもの
- 商品の写真(正面・裏面・中身)。裏面の一括表示は必ず見られます
- 価格と取引条件の一覧(前章の7項目)
- どういう売場で売れているか、実際の事例
- 想定する売価と、その根拠
- 競合商品との違いを一言で
要らないもの
- 会社の沿革を何ページも
- 開発の思い入れを長文で
- 市場規模のグラフ(バイヤーのほうが詳しい)
資料は商談中に一緒に見るものです。読ませる文章ではなく、聞かれたページをすぐ開けることのほうが重要になります。
「棚がない」と言われたときの読み方
断り文句の意味を取り違えると、次の手が打てません。よくある断り方と、その裏側を整理します。
| 「棚が空いていない」 | 本当に物理的に空いていない場合と、今ある商品を外してまで入れる理由がないという意味の場合があります。後者なら、何と入れ替わるのかを提案すると話が動きます。 |
|---|---|
| 「価格が合わない」 | 高すぎるのか、粗利が取れないのかで対応が変わります。売価を上げられる売場なら、掛率ではなく売価の話に持っていけます。 |
| 「ロットが大きい」 | 試すリスクを取りたくないという意味です。小さく始める形を出せるかどうか。混載できるなら、そこが突破口になります。 |
| 「時期が悪い」 | 本当に時期の問題なら、次の棚替えの時期を聞いておきます。多くの売場は棚の見直し時期が決まっています。 |
| 「検討します」 | ほぼ断りです。ただし何が引っかかったかを聞ければ材料になります。 |
断られた理由を記録しておくと、同じ断られ方が続いているかどうかが分かります。同じ理由が続くなら、商品ではなくターゲットの選び方に問題があります。
卸・商社に提案するときの違い
小売店への提案と、卸・商社への提案は別物です。
卸は自分で売るのではなく、自分の取引先に流せるかどうかで判断します。したがって「どの売場で売れるか」を提案側が示す必要があります。「御社の取引先の中で、この業態に合います」と言えるかどうかです。
また、卸を通すと掛率は最も厳しくなります。そのぶん1社通れば販売先が一気に広がるため、数量と引き換えに利益率を下げる判断になります。供給余力が足りないまま卸に入ると、欠品して信用を落とすことになるので、順番としては小売である程度動かしてからのほうが安全です。
POINT
卸への提案は「取扱枠があるか」を最初に確認してください。同じジャンルで既に商品を持っている場合、枠が埋まっていることがあります。
まとめ
通る提案に共通しているのは、商品が優れていることではなく、相手が判断するための材料がその場で揃っていることです。条件を即答でき、売れる売場を示せて、断られた理由を次に活かせる。この3つが回り始めると、提案の通過率は上がっていきます。
当社は食品専業で、自社でも製造・卸売・小売を行っています。バイヤーが何を見て判断するかを買い手の立場で知っているため、価格・ロット・期限といった論点にその場で踏み込めます。ターゲットの抽出から商談の獲得まで、営業の実務を代行します。
食品専門の販路開拓代行